2019年6月5日更新 Vol.115

祝! 食品ロス削減法成立!
食べ物のムダをなくしていこう

  • リサイクル・その他

小さいけれど重要な一歩

2019年5月24日、「食品ロス削減法」が国会で成立しました。世界には栄養不足の状態にある人々が多数存在する中で大量の食料を輸入し、食料の多くを輸入に依存している日本にとって、食品ロスは大きな課題です。
法律は国民一人ひとりが食べ物を無駄にしない意識の醸成と定着を図ること、そしてまだ食べることができる食品についてはできるだけ食品として活用するようにしていくことを明記しています。

また、食品ロスの削減に関する理解と関心を深めるため、食品ロス削減月間(10月)を設け、教育・学習の振興、知識の普及・啓発などを実施することも決まっています。
違反に対して罰則などはないため、効果を疑問視する意見もあるようですが、それでも現状に警鐘を鳴らし、歯止めをかける最初の一歩として大きな意味があるでしょう。

食品ロスは他にもロスを生む

食品ロスは、実は食品だけの問題ではないのです。
お米を例にとって説明します。
お米を作る場合、春に種籾から苗を育て、それを水田に植え、雑草の繁殖を抑えながら、稲の生育状況に合わせて水の量を調整していき、秋に収穫して脱穀・精米し、やっとお米になります。そのお米は物流網に乗ってお店に届き、私たちの口に入ります。

お米が出来あがるまでは農家をはじめ、さまざまな人がいろんな形で関わり、最終的に私たちの手元に届きます。また、昨今は食の安全が注目されており、安全なお米を届けるために農家は作り方を工夫したり残留農薬がないか検査をしたりと、以前よりも手間をかけています。よく「手塩にかけて育てる」といいますが、お米を残すということは、そうした農家をはじめ、お米の流通に関った皆さんの「手塩」がムダになるということです。
これを「お金を払っているのだからいいじゃないか」と言っていたら、食品ロスは永遠に減りません。

食品メーカーなども独自に工夫

消費者庁のホームページには、食品ロス削減の取り組み事例として、自治体が地域などと連携した取り組みや災害用備蓄食料をムダにしない活動などが紹介されています。

また、食品メーカーもロス削減に向けてさまざまに取り組んでいます。たとえばキューピー株式会社は、製法や包装容器の改良で当初7ヵ月だった賞味期限を12ヵ月まで伸ばしました。

また、森永乳業株式会社は、ロングライフ製法を開発することで、牛乳などの飲料製品を、保存料や防腐剤を使わずに常温で60日間保存できるようにしました。
メーカーも企業の社会的責任(CSR)を果たすため、食品ロス削減に真剣に取り組んでいます。

「省エネの達人 企業編」は食品ロス削減を応援します!

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