2021年12月3日更新 Vol.205

COP26が閉幕
産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑える

  • リサイクル・その他


イギリス北部のグラスゴーで10月31日から13日にかけて、第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が開催されました。新型コロナウイルスの影響で開催が1年遅れましたが、約120ヵ国の代表団や科学者、環境保護活動家など約2万5000人が集まって温暖化対策について話し合い、「グラスゴー気候合意」を採択しました。合意内容は主に以下の通りです。


①産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑える努力を追求する
②石炭火力発電の段階的な削減
③途上国への資金援助の拡充
④国際排出枠の取引ルール決定

パリ協定は実現できるか

①の「産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑える」は、気候変動の国際枠組み「パリ協定」の決定事項です。これを実現するためには世界の2030年温暖化ガス排出量を2010年比で45%削減する必要があります。しかし各国の削減目標を積み上げても2030年の温暖化ガスは13.7%増となることが会期中に判明しており、各国とも今以上の目標を打ち出すために、2022年末までに2030年の排出量削減目標を各国が再検討することになりました。

②の石炭火力発電の段階的な削減については当初「段階的な廃止」とすることを議長国のイギリスが提案していましたが、インドなど発展途上国が「発展の機会が奪われる」と強硬に反対し、表現が後退しました。

途上国の脱炭素を支援する

③の途上国への資金援助の拡充も、本来なら支援は2020年までに1000億ドルになる予定でしたが、これが達成できていませんでした。途上国は経済発展にともないエネルギー消費が増えることから、目標実現には援助が不可欠となります。そのため今後は途上国への援助額を大幅に増やす予定です。

また、従来のCOPでは細かなルールが決められなかった④の排出枠取引は、先進国が途上国で取り組んだ温暖化ガス削減分について、どのように分配し合うかというルール化が課題でした。パリ協定締結後、いつからの分を算入可能にするかで、なかなか妥結できずにいましたが、今回、2013年以降に国連に届け出た分から認められることが決まりました。

ここからが勝負

8月に発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書には「人間の影響が大気、海洋および陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と記されています。人類の社会活動が原因となり地球温暖化が進んでいることが研究結果からはっきりしました。あとは温暖化防止に向けてどれだけ行動できるかです。
第6次評価報告書には、最も対策が進むシナリオであれば、気温は一度は上昇するものの、今世紀末には1.5℃以下の水準に収まる可能性があるとも書かれています。温暖化ガス削減に向け、手っ取り早くて効果が高いものの1つが省エネです。これまでの記事も参考にしていただき、省エネを推進していきましょう。

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