2022年3月5日更新 Vol.214

気候変動が影響している!?
気温上昇で花粉の飛散時期が延びる

  • リサイクル・その他


春の訪れを感じられるようになりましたが、花粉症の方にはつらい季節ですね。
このところ毎年のように「今年は昨年に比べ花粉の量が増える見込み」なんてニュースを目にします。実はこの一因となっているのが気候変動です。
今回は花粉症だけではない、気候変動が私たちの生活にもたらした変化について、日本国内での事象をご紹介します。

花粉症のつらい時期が長くなる

日本で花粉症を引き起こす代表的な植物といえば、スギやヒノキですね。これらの花粉は春の気温の上昇とともに飛散が始まります。
スギやヒノキは、温暖化による夏の気温上昇でその成長スピードが速くなります。これが翌年の春に大量の花粉を飛散させる一因となっています。また春先の気温が高いと飛散時期も早まります。つまり長い期間にわたり花粉症のつらい症状が続くのです。

日本人の主食「白米」にも変化が!?

日本人の主食であるお米にも気候変動の影響が出始めています。
白米は炊き立ての甘い香りが食欲をそそりますが、生産の過程で、お米のでんぷん量が少なくなる「白未熟粒(しろみじゅくりゅう)」という現象が現れるようになりました。これは米の一部が白濁化する現象で、出穂から収穫までの日平均気温が27℃を上回ると白未熟粒の占める割合が増えます。こうしたお米は最後までしっかり育たないので小粒や細長いものが多く、品質も低下してしまいます。

ヒトスジシマカの分布域が拡大

ここ数年、夏になると「デング熱にご注意ください!」という注意書きを、公園などで見かけことがあります。デング熱とは、ヒトスジシマカという蚊が媒介する感染症です。熱帯・亜熱帯地域を中心に流行し、発熱や発疹、頭痛などを引き起こし、まれに重症化することもあるので注意が必要です。
このヒトスジシマカの分布域が温暖化とともに北上しています。1940年代には栃木県北部が北限とみられていましたが、最近では青森県内でも生息が確認され、日本全国に広がりを見せています。
蚊がいそうな場所に行くときは肌の露出の少ない服装を選ぶなど、注意が必要ですね。

日本の三大湾にも変化がある

気候変動による海洋の変化といえば、流氷の減少やサンゴの白化などが有名ですが、それだけではありません。気象庁の調べによると日本近海の海面水温の上昇率は2020年までの100年で+1.16℃。世界全体の平均上昇水温(+0.56℃)の2倍以上です。
今後さらに温暖化が進み、海水温が上昇すると海面水位は今よりも45cm~82cmほども上昇するという予測が出ています。こうなると、日本の海抜ゼロメートル地帯は大きく広がります。日本の三大湾でも、東京湾では横浜市や千葉市、伊勢湾では名古屋市、大阪湾では大阪市や神戸市などの一部がゼロメートル地帯に含まれるようになり、現在の1.5倍を超える広さになるとの予測があります。
(国土交通省 地球温暖化に伴う気候変動について)


今回ご紹介した事象は気候変動による変化のほんの一部ですが、あまりにも生活に身近なものが多くて驚きます。地球の未来のために、わたしたちの生活を守るために、自分たちにできることを考えていきたいですね。

関連動画